【一時帰国の日記】父と過ごした最後の1カ月

バンコクからサワディーカー!

バンコク在住14年ブリ子です。

 

 

父が旅立ちました。

バンコクから一時帰国して、約1カ月間、ほぼ毎日病院に通った日々。

今もまだ、うまく言葉にできないけれど、

あの時間を、少しだけ記録しておきたいなと思いました。

一時帰国を決めた時のこと

父が危篤だと聞いたとき、どうか帰るまで間に合って、と願うばかりだった。

私はすぐに駆けつけることができないもどかしさ。

距離が、こんなに苦しいものだと思ったのは初めてだった。

バンコクに子どもと夫を置いていく不安もあった。

そんな時に、15年間一度も起こったことのなかった大きな地震がバンコクで起きた。

「なぜこんな時に?」と、心がざわざわした。

病院に通った日々

父は癌だった。

毎日毎日、病院へ通った。

気づけば、病気のことにも詳しくなり、先生ともたくさん話をした。

もし自分が同じ立場になったら、どうしてほしいか、どうしたいか。

そんなことも考えるようになった。

そして、抗がん剤は「魔法の薬」ではないこと。

ときに、人によっては「別の苦しみを生む」こともあるのだということ。

そんな現実も、知った。

旅立ちの日

「もう危ないかもしれない」と言われていたけれど、別れはやっぱり突然だった。

連絡があってからわずか40分後、父は静かに息を引き取った。

病院に到着したとき、父はまだ温かかった。

この瞬間に手を握れたこと、一生忘れないと思う。

今、感じていること

もう病院に行かなくていい。

入院していて、家にいなかったけど、

「亡くなった」という事実は、やっぱりまったく別の重さがある。

寂しさが、ふと込みあげてくる。

あぁ、もうこの世界にはいないんだなって。

そう思うと、胸の奥がじんわりと痛くなる。

ふとした瞬間、いつも座っていたあの椅子に座っているような気がする。

いなくなって初めて、その人の存在の大きさを知る。

棺には、大好きだったタイを思い出してほしくて、タイバーツを少し入れた。

父は、屋台をぶらぶらするのが好きだったから。

これからのこと

人生って、いつか絶対終わるんだよね。

そんなの当たり前のことなんだけど、今回初めて、ちゃんと目の前で感じた気がする。

お父さんは、生きてる間だけじゃなくて、亡くなった今も、私に色んなことを教えてくれてる。

それに、いくつになっても、親ってやっぱり大きな存在なんだなぁって思った。

今は、そんなふうに感じてる。